
――― いらっしゃいませ『お客様』。こちらの席へどうぞ。今週オススメの話題はこちらです。
私が以前働いていたお店には、フロアにグランドピアノが設置されており、そこでは決まった時間に雇われピアニストが演奏をしていました。
店内は毎夜常連客を中心に多くの人で賑わっていました。ピアニストはお客様の会話を邪魔すること無く、外から新鮮な空気が流れ込んできたかのように、会場に音を運びます…観客が音楽に耳を傾けだすのに従って、次第に演奏はフィナーレへと向かいます。演奏が終わった時、人々は決まって拍手喝采で、音楽の余韻と高揚感に包まれていました。
ピアニストは決して音を外すこと無く、毎夜完璧な演奏をしました。その完璧なパフォーマンスをきっかけに、私はピアニストの演奏中の胸中が気になり、ある日本人にその心得を訪ねました。
「練習で出来ないことは、本番では出来ないから…」ピアニストは冬場、指先を冷やさないようにお湯で固く絞ったタオルを離しませんでした。
「練習は必ずします、それも毎回本番だと思って弾きます。弾けるようになるまで」
――でも、練習で上手く弾けても、本番では失敗するかもしれないですよね?プレッシャーを感じたりはしないんですか?
「プレッシャー…緊張感はあるように思います。ただ、あまりリラックスしすぎても良いパフォーマンスは出来ません。その時間に集中する事が大切だと思うので」
――どうすれば、本番でプレッシャーに負けないようになるんでしょう?
「練習が毎回本番だと思うように、本番も練習の延長と考えます。…例えば、私はピアノを弾く前に6個決まった事をします。練習でも、本番でも」
――6個決まった動作?
「そう、些細な事でいいんです…私の場合は、まずガラスのコップの7分目まで水を注ぐ。それを半分まで飲み干す。ピアノの蓋をあける。椅子の高さを確認する。位置を調整する。自身の中で決まっている鍵盤を順番にたたく。…そこから演奏を始めます。練習でも、本番でも」
――たったそれだけでプレッシャーに勝てるんですか?
「本番が特別なものではなく、日常に置き換われば…プレッシャーはなくなると思いますよ」
日常…つまり平常で上手く行っている状態の自分を本番でも発揮するためには、その日常に行う「ルーティーン」を本番前に行うことで、自然と本来のパフォーマンスが発揮できるということ。
もちろん、日頃の練習が出来てこそですが、そのプラスαの心がけで、確かにプレッシャーに勝てるのかもしれません。
ピアニストはそう言ってから、演奏前に飲んだ残りの水を飲み干し、店を後にしました。
――― お帰りですか?お代金は結構ですよ。来週、またのお越しをお待ちしていますね。
2016年9月27日
「末永くお幸せ」のコツ
2016年9月20日
集中力UP!ミニマル音
2016年9月13日
季節の移ろい・健康対策
2016年9月6日
やる気を保つ勉強のコツ
2016年8月30日
「他人を愛せない」悩み
2016年8月23日
応用可能!簡単恋愛心理
2016年8月17日
どんな人なの女子会男子
2016年8月10日
真夏の夜のオススメ映画
2016年8月2日
色と心理!勝負は…赤?
2016年7月26日
美しい物・人の見つけ方
2016年7月14日
男脳と女脳、何が違うの?
2016年7月6日
運のいい人達がしている事
2016年6月30日
人からの評価を「楽しむ」
2016年6月22日
気持ちがラクになる名言集
2016年6月15日
お酒に甘えてしまう人達へ
2016年6月8日
実はOK?過保護&過干渉
2016年6月1日
遊び上手は就職がはやい?
2016年5月25日
欠点から?惹かれる会話術
2016年5月18日
打倒『五月病』!回復方法
2016年5月9日
ニガテでも出来る!簡単料理